公益財団法人 いばらき中小企業グローバル推進機構

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橋本ブラシ

オーダーメイドのブラシを1本から世界に届けます

2022年9月21日

今回、当機構の海外展開推進員の石村が、産業用ねじりブラシを製造している株式会社橋本ブラシ製作所を訪問して、海外営業を担当している菅原翔 営業部長に話を伺いました。

 
  

 

 

 

 

事業の概要

石村:それでは、まず御社の事業概要を教えていただけますか。

営業部長 菅原 翔 氏

菅原:当社は昭和30年、橋本康夫と利夫の兄弟で東京都日野市にねじりブラシ専門工場を設立したのが始まりです。現在の代表取締役は、創業した先代の弟の方の息子、私の母親は先代の兄の方の娘なので、従兄弟に当たります。先代の兄の方は工業系のブラシ、弟の方は民生用のブラシとジャンルを分けて担当していました。その後、昭和40年には、工場が手狭になったことから埼玉県三郷市に移転。そして平成元年に、ここ美浦村に新工場を建てて茨城県に移ってきました。

石村:茨城県に工場を新設したのは、どのような理由からだったのでしょうか?

菅原:美浦村への移転は現代表が決めたのですが、当時、茨城県に圏央道の建設計画が持ち上がっており、圏央道ができれば故郷の日野市や工場のあった三郷市、首都圏の取引先等を高速道路で容易に行き来することができると考え、それで圏央道の沿線で土地を探して、美浦村に落ち着いたわけです。そして、それまでジャンルごとに二つに分かれていた工場を一つにまとめました。

石村:平成に入る前から、圏央道の将来性に着目していたのですね。

菅原:圏央道が開通するまでには相当な時間がかかりましたが、ここの地を選んでくれていてよかったと思っています。

石村:物流の要となる高速道路等の交通網は大事ですからね。ところで、ねじりブラシとはどのようなものなのでしょうか?

ねじりブラシ

菅原:ねじりブラシとは、2本以上の芯線の間にブラシ毛材を挟み、ねじり込んで製作するブラシの総称です。ねじりブラシは、ただねじるだけの単純な作り方のように見えますが、多種多様な工法と適材繊維の組み合わせ方一つで、良いブラシにも、悪いブラシにもなるんです。当社は、長年の実績と経験を基に、お客様の用途に合わせて最も適したブラシを開発、提供しています。

石村:御社のねじりブラシの一番の強みはどこにあるのでしょうか。

菅原:当社は、毛材の配列方法に特別な工夫を施していて、ブラシ径がわずかφ0.4mmの極小径から全長10m以上となる大型ブラシまで、お客様の用途に応じてどのようなブラシでも製作することが可能です。また、毛抜け検査機で引っ張り強度テストを実施しており、毛が抜けづらく、できるだけ長持ちするよう耐久面にも気を配るなど、伝統的な技術の中にも、新しい高度な技術を多く取り入れることで、高い品質を誇っているところが最大の強みですね。

石村:御社の製品のほとんどがお客様の用途に応じたフルオーダー品になると思うのですが、一つ一つ対応するのは大変ではありませんか。

菅原:確かにお客様の要望は多種多様で、同じものは一つもないと言ってもよいでしょう。毛材は化学繊維から植物繊維、獣毛、金属線に至るまで、芯線においてもステンレスなど様々な材質に対応する必要があります。しかし、我々はねじりブラシを長年手掛けてきたプロですので、お客様が洗浄工程で困っている内容を教えていただければ、必ず問題の解決策を提案することができます。そして、試作品として1本からの注文にも対応しています。現在、当社の取引先は300社ほどあり、ひとつの会社で納入先が数か所になることもあります。それぞれの会社、現場向けに、用途に応じていくつもの種類のオーダー品を作って納めるのがブラシのプロとしての当社の仕事ですので、ごくごく普通のことだと思っています。

石村:コスト面ではどうなのでしょうか。フルオーダー品なので顧客側からすると調達コストが高くなってしまいませんか。

菅原:仕様が決まり、ある程度の量が見込めるものは、内製化した専用の自動機で作っていますので、コスト的にもお客様の要望に十分に対応することが可能となっています。また、自動機で製造することがむずかしい、毛渡りが長いような特殊なものも、当社の長年の製造ノウハウによりコストを最小限に抑えています。

石村:まずは顧客の用途にぴったりと合っていて洗浄等の目的をしっかりと果たせること、そして耐久性にも優れていて、調達コストも自動化により抑えられていること、それが御社のブラシが選ばれている理由なのですね。

 

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