公益財団法人 いばらき中小企業グローバル推進機構

文字サイズ

トップページ 茨城から世界へ > 月の井酒造店

 

 

 

 

月の井酒造店

2022年3月24日

 

今後の展開

 

角掛:今後の酒造りについてはどのようにお考えですか。

主力の「月の井」ブランドシリーズ

主力の「月の井」ブランドシリーズ

坂本ご存じのように、近年は少子高齢化とともに、消費者のニーズが多様化してきていて、輸入ワインの低価格化、地ビールやスピリッツ系の普及など、お酒の種類自体の選択肢が増えてきていて、国内の日本酒の消費量はじりじりと下がりつつあります。そのような中、当社ではオーガニック日本酒など、飲み手の皆様の健康を考えたお酒のほか、ヨーロッパのワイン産地で重要視されているテロワールのコンセプトのように、地元大洗産のコメ、地元の水、当蔵特有の酵母菌と乳酸菌を自然に取り込んで造った究極の地酒を造っていきたいと考えています。そうすれば、当蔵ならではの独特の個性を有する、世界で一つだけの造り酒屋になることができるんです。

角掛これからの時代、個性を出していくということはとても大切なことだと思います。今後の会社全体としての展開について何かお考えでしょうか

開発した有機化粧水

坂本当社のこれまでの酒造技術や有形無形の資産を使うことによって、新たな商品分野に挑戦していこうと考えています。たとえば、もろみを絞る工程で出る酒粕を使った「酒粕ドレッシング」や「酒粕アイスクリーム」をすでに商品化していますし、最近では、有機米を精米する際に出る米粉を使った「有機米粉バウムクーヘン」を地元茨城の大手菓子メーカーとコラボで開発して販売し始めたところです。また、有機JAS認定の酒米から造った日本酒「和の月」の酒粕エキスを使用した「有機ハンドクリーム」や「有機化粧水」を開発しました。このうち「有機化粧水」については、いばらき中小企業グローバル推進機構が実施している「いばらきチャレンジ基金」の「新製品・新技術開発事業補助金」を利用させていただきました。

角掛日本酒造りと相乗効果が見込める分野も手掛けていくのですね。

坂本そうです。新商品を開発するためには多額の資金が必要なので、当社のような小規模な造り酒屋が開発に取り組んでいくことは容易ではありません。もしかしたら開発に失敗してしまうかも知れない商品に多額の資金を投入することに対しては、中小企業として二の足を踏まざるを得ない中、前向きにチャレンジするための資金を助成してくれる制度の存在は大変ありがたいと思っています。

角掛:それでは最後になりますが、機構に対して何か要望はありますか。

ベトナムバイヤーとの商談

(東京都内)

坂本:外国人バイヤーと商談する際の通訳サポートをお願いできればありがたいですね。海外取引の場合、海外だけでなく日本国内においても外国人バイヤーと商談するケースがあるのですが、言葉の面だけはどうにも追いつかないんです。もちろん、ある程度のコミュニケーションは取れるように勉強はしているんですけど、実際のビジネス商談となると細かいところで説明不足による行き違いや勘違いが出てきてしまいます。かといって、当社のような小さな酒蔵では、海外との商取引に精通したバイリンガルを常時雇用しておくわけにもいきません。商談が成功するかどうかだけでなく、その後に円滑な取引を行っていけるかどうかを考えると、きちんとしたプロの通訳者を通して意思疎通を図ることが大切だと思うので、是非支援をお願いしたいと思います。

角掛:そうですね。商談成功の可否はコミュニケーションが鍵を握っているといっても過言ではありませんからね。

坂本:また、当社はいばらき中小企業グローバル推進機構の専門家派遣事業(中小企業エキスパート派遣事業)を利用して、現在、専門家から管理会計の個別指導も受けているところなので、お世話になりっぱなしです。ですが、お世話になるだけでなく、必ずその成果をお返ししたいと考え、日夜頑張っているところですので、これからもご支援のほどをよろしくお願いします。

株式会社 月の井酒造店
 ●設   立 昭和27年5月
 ●資 本 金 24,000千円
 ●代表取締役 坂本敬子 
 ●従   業   員 19人
 ●年   商 1億5千万円
 ●所 在 地 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町638

 ●事 業 内 容 日本酒、派生商品
 ●輸 出 比 率 売上の9%(約1千200万円)平成30年
  月の井酒造店HP

 

 

 

 

 聞き手
公益財団法人いばらき中小企業グローバル推進機構
海外展開推進員
●氏  名 角掛康弘(つのかけやすひろ)
●専門分野 食品(畜産、有機)
●経  歴
大手総合商社で、長年にわたりマーケティング及び貿易業務に従事。米国駐在及び中国での現地法人設立経験がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

角掛:アメリカやヨーロッパではオーガニック食品が市民権を得ていますが、日本は残念ながらオーガニック市場としてはまだまだ途上にあるというのが現状です。その中で、月の井酒造店さんがオーガニック日本酒を十年以上も前から造り続けているのは、坂本社長さんに揺るがぬ信念があったからこそだと思います。
 その信念はしっかりと引き継がれ、八代目蔵元である息子さんの坂本直彦専務取締役も志を同じくしているとのことですので、今後の同社の海外向けへの営業や化粧品等の新たな商品分野への展開を含めて成長が期待されるところです。
 海外に輸出するということは、坂本社長がまさに経験してきたように本当に大変なことで、どうにか売れるだろうというような生半可な気持ちでは到底覚つきません。しかし、きちんと情報を集め、行政機関等が実施する公的な海外展開事業を利用していくことで、成約に近づく可能性があることも事実です。
 海外展開にチャレンジしてみたいとお考えの茨城県内の中小企業さんがいらっしゃいましたら、是非下記までご連絡ください。

【お問合せ先】
(農産品・加工品)
 グローバル展開一課
 TEL : 029-224-5412 FAX : 029-350-1103
 E-mail : global@iis-net.or.jp

 

前の記事    一覧へ戻る    次の記事